編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第80回 「ムカデじゃないから、なんとかなるよ」スポーツ義足の第一人者、臼井さん

義肢装具士の臼井二美男さん 義肢装具士の臼井二美男さん(財団法人鉄道弘済会 義肢装具サポートセンター所属)と久しぶりにゆっくり話をする機会がありました。ラジオ番組「みんなのスポーツ」(*注1)にゲスト出演をお願いしたときのことです。昨年上梓された「転んでも、大丈夫 ぼくが義足を作る理由」(ポプラ社)が今年の小学校高学年の課題図書になったことなど、たっぷりとお話を伺いました。

 私が臼井さんと出会ったのはパラスポーツの取材を始めた2008年ころです。陸上の大会に行くと必ず臼井さんの姿を見かけました。義足の選手に寄り添い、ときには義足の調整をして選手と話し込んでいました。臼井さんは選手やスタッフとにぎやかに笑いながら、いつも輪の中心にいました。

「どこのどなたなんだろう」と、思い切って話しかけてみると、とても気さくに話していただきました。「裏方だから」が口癖の臼井さんですが、スポーツ義足の第一人者で日本で初めてスポーツ義足を作った方だということも後で知りました。

 34年前、臼井さんは義足技師の見習いから始めました。義足をつけた人に臼井さんは「走ってみたら」と勧めていたそうです。義足になると誰もが不安になります。「転ぶかもしれない」「歩き方が変なのでは?」「座ったら立つのが大変?」など。でも、とにかく走れるようになれば、歩くことも立ち上がることもできて、義足で過ごす日常の不安が少なくなる。これが臼井さんの考えでした。初めて走ったとき100%の人が涙をこぼすそうです。「こういう世界があるんだ」と。

 特に子供たちはその傾向が顕著だと臼井さんは言います。障がいがあることで引きこもったり、人と接触しなくなったりする子も少なくないそうです。でもスポーツを始めるとがらりと変わります。自然と外に出るようになり、友達ができ、性格も明るくなる。とにかくいいことがいっぱいある、と臼井さんは考えています。

*注1)「みんなのスポーツ」は筆者がパーソナリティを務めるラジオ番組。6局ネット(新潟放送ラジオ、ラジオ大阪、大分放送ラジオ、茨城放送ラジオ、栃木放送ラジオ、山口放送ラジオ)で毎週放送中。

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伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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