開設に寄せて

開設に寄せて

ロンドンオリンピック・パラリンピックを1年後に控えたこの6月、紆余曲折を経て「スポーツ基本法」が成立した。1961年に制定された「スポーツ振興法」を半世紀ぶりに全面改正したもので、「スポーツ立国」を目指すこの国にとっては一歩前進といっていいだろう。
 <スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない。>
とりわけ健常者のみならず障害者にも目を向けている点は評価できる。

過日、米国代表候補に混じって米国・サンディエゴのナショナルトレーニングセンターを拠点にしている障害者アスリートを取材して、日米の障害者スポーツに対する環境や意識の違いの大きさを実感した。彼女はこう語っていた。
「米国で“義足だから”“パラリンピック選手だから”ということは一度も言われたことがありません。私自身もそういう意識は全くないですね。オリンピック選手もパラリンピック選手も一緒に練習したり、同じ大会で競ったりしている。それが米国では普通なんです」
オリンピアンもパラリンピアンも、自らの肉体の限界に挑み、磨き上げた技を競い合うという点において、何ら違いのあるものではない。

今回、開設した「The Road to London」はロンドンパラリンピックを目指す日本人アスリートやパラリンピック競技を紹介するスポーツサイトだ。「障害者スポーツはスポーツであり、パラリンピアンはアスリートである」という視点から、硬派に迫りたいと考えている。
これまで日本では障害者スポーツは「福祉」「リハビリ」という観点で扱われることが多かった。当サイトはそれとは一線を画す。

2012年、ロンドンの地でひとりでも多くのパラリンピアンが活躍することを切に願っている。

二宮清純(にのみや・せいじゅん) スポーツジャーナリスト。
1960年、愛媛県生まれ。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開。テレビのスポーツニュースや報道番組のコメンテーターとしても活動中。主な著書に「スポーツ名勝負物語」(講談社現代新書)、「プロ野球の一流たち」(講談社現代新書)など。障害者スポーツでは矢野繁樹、成田真由美、国枝慎吾などのノンフィクションを執筆している。

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