二宮清純の視点

二宮清純が探る新たなるスポーツの地平線

"挑戦者たち"への取材にあたって

パラリンピックの現場を取材していて、選手たちから「同じスポーツなのに自分たちの結果は新聞の社会面で紹介されるが、オリンピックの選手たちはスポーツ面。自分たちのやっていることをきちんとスポーツとしてとらえて欲しい」という少なくない数の声を聞いた。

確かにパラリンピックに関する報道は「勇気を与えてくれてありがとう」「感動をありがとう」というものがほとんどで、競技のおもしろさや、アスリートとしての素晴らしさ、あるいは明暗を分けた戦略や戦術、技術について言及されることは極めて少ない。

彼らは立派なアスリートである。勝利を目指して戦い、その過程で自らの成長を実感する。そこに健常者との違いは見出せない。「感動をありがとう」と言われて嬉しくなくはないだろうが、それは結果としてついてくるものであって、最初からそれを目指しているものではない。

そもそも障害者スポーツと健常者スポーツを分けて考えること自体がおかしい。誰がやってもスポーツはスポーツなのだが、この国には大きな壁が存在する。それはオリンピックの所轄官庁が文部科学省であるのに対し、パラリンピックが厚生労働省であることでも明らかだ。スポーツは人類が生み出したかけがえのない文化である。パラリンピックとその周辺の競技を知れば、スポーツはもっとおもしろくなる。




二宮 清純(にのみや せいじゅん)

スポーツジャーナリスト。
1960年、愛媛県生まれ。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開。テレビのスポーツニュースや報道番組のコメンテーターとしても活動中。主な著書に「スポーツ名勝負物語」(講談社現代新書)、「プロ野球の一流たち」(講談社現代新書)など。障害者スポーツでは矢野繁樹、成田真由美、国枝慎吾などのノンフィクションを執筆している。

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"挑戦者たち"への取材にあたって


[バックナンバー]

第6回 狩野亮選手、マルハン韓裕社長~障害者スポーツと企業のかかわり~

第5回 中森邦男氏
 ~日本障害者スポーツの実相~

第4回 森喜朗元首相
 ~国民誰にもスポーツする権利がある~

第3回 京谷和幸選手
 ~車椅子バスケの伝道師~

第2回 遠藤隆行選手
 ~氷上の格闘技に魅せられて~

第1回 新田佳浩選手、荒井秀樹監督~パラリンピックへの熱き思い~


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