TOPICS

世界で戦うアスリートたちの情報を発信します!

車いすテニス世界国別選手権 日本男子、惜しくも準優勝

 5月23日から28日、有明コロシアム・有明テニスの森公園で「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」が行われました。地元で9年ぶり3度目の優勝を狙った日本男子は、惜しくも準優勝となりました。

有明コロシアムには3,769人が来場。世界最高峰のプレーに歓声を送った。
有明コロシアムには3,769人が来場。世界最高峰のプレーに歓声を送った。

 国ごとにチームを編成して世界一を争うこの大会。毎年開催国を変えて行われていますが、日本で行われるのは今回が初めて。国際大会が首都圏で行われるのは珍しい車いすテニス。最終日28日の男子決勝には3,769人の観客が有明コロシアムに来場しました。

 3度目の優勝を狙う日本の相手は、6度の優勝を誇る強豪・フランス。シングルスを2戦・ダブルス1戦で、先に2勝した方が優勝です。

 初戦は世界ランキング9位の眞田卓選手が同3位のニコラス・ペイファー選手と対戦。
「緊張でいつもの自分ではなかった」という眞田選手は、動きが固くゲームを先行される展開。徐々に本来のキレのあるショットを取り戻しますが、相手の緩急を織り交ぜた正確なショットでベースライン後方に押し込められ、得意の強打を封じられてしまいます。最後まで高い技術に圧倒された眞田選手。1-6、1-6の悔しいストレート負けとなりました。

眞田卓選手
「相手のプレー・戦術が素晴らしく、打ちたい球を打たせてくれなかった。悔しさばかりが残った。しかしこの緊張感の中でプレーできたことはリオに向けて大きな経験だと思う」

リオへ良い経験になったと語る眞田卓選手。
写真/竹見脩吾 (写真は25日のもの)
リオへ良い経験になったと語る眞田卓選手。



 後が無くなった第2戦。パラリンピック2連覇の国枝慎吾選手が、現・世界ランキング1位のステファン・ウデ選手と対戦しました。
 4月の上旬に右肘の内視鏡手術をしたばかりの国枝選手はこの大会が復帰戦。それでも「この大会で1番自分らしいテニスができた」という王者は、手術明けと思えない力強いショットと車いすさばきで大観衆を沸かせます。そして4-3とリードして迎えた第8ゲームが勝負の分かれ目となります。両者とも譲らず素晴らしいショットの応戦となりますが、5度のデュースの末にゲームを取ったのはウデ選手。国枝選手はここから3ゲームを連取されて、第1セットを4-6で落とします。
 第2セットも序盤は互角ながら、徐々にコースの甘さなどから相手に主導権を握られます。「ショットのフィーリングがまだ合わないところがある」と話す通り、ショットの精度を欠いて、2-6。
 セットカウント0-2のストレートで敗れ、2連敗の日本は準優勝となりました。

国枝慎吾選手
「相手の良さを引き出してしまった。今悔しさがこみあげている。しかし、大会を通して随分状態はあがったと思う。肘の状態は全く問題ない。復帰戦はこれで終わり。全仏でリベンジを果たしてリオへ弾みをつけたいと思う」
ステファン・ウデ選手(フランス)
「国枝選手は万全の状態ではなかったので、少し残念に思う。それでもこの素晴らしい観客の前で彼とプレーできたことを嬉しく思っている」

肘の手術からの復帰戦、手応えを口にした国枝慎吾選手。
写真/竹見脩吾 (写真は25日のもの)
肘の手術からの復帰戦、手応えを口にした国枝慎吾選手。



 地元優勝は果たせなかった日本男子。しかし、有明に訪れた観客は世界最高峰といえるプレーの数々に歓声と拍手を送りました。初めて観戦した方にお話を伺いました。

夫婦で観戦した男性
「技術的な高さに驚いた。生で観ると本当に違う。すごいと思った」
自らもテニスをプレーするという女性
「彼らがアスリートということが生で観てよくわかった。本当に世界最高峰の戦いだった。最近ニュースで競技を見るようになったが、もっと知られていいと思う」

日本男子の9年ぶり3度目の優勝はならなかった。
日本男子の9年ぶり3度目の優勝はならなかった。

 女子とクァードは3位、ジュニアが7位と全てのカテゴリーで優勝は果たせなかった日本。しかし、テニスの聖地・有明で多くの観客にその魅力を発信できたことは、2020年東京大会に向けて非常に重要な大会になったと感じられました。