応援メッセージ


私の人生はスポーツ抜きに語れない。子どもの時から、水泳、剣道、スキー、サッカー、テニス、ヨット、スキューバーダイビング、ゴルフなどを楽しんできたし、観戦となれば、野球、サッカー、ラグビ―、バスケット、バレー、テニス、陸上、柔道、空手、スケートいろんなスポーツの観戦を趣味としてきた。
実は、高校時代、弱小サッカー部を、後のJリーガーを要する強豪校を相手に神戸市一部リーグで優勝に導いたことがある。チームワークがミラクルを起こすこと、高校生にして、「不可能が可能になる」プロセスと瞬間を体験したことが、私の人生を劇的に変えた。
パラリンピックこそ、「不可能が可能になる」瞬間の連続だ。
陸上の佐藤真海さんや水泳の河合純一さんをはじめ、車椅子バスケの選手など、様々な場面で、パラリンピアンと接する機会が多い。
こうした御縁を通じて、パラリンピアンの皆さんの力の超人的なパフォーマンスの素晴らしさを目の当たりにしてきた。私を含めて、人々が、その人生観を一変させる瞬間を何度も目撃している。障害を乗り越え、超人の域に達するまでの、長年の想像を絶する努力の結晶。稲妻に打たれたような感動をいつも覚える。人間の努力の尊さ、ひたむきさに、いつも、とてつもなく感動が湧き上がる。
50年ぶりのスポーツ基本法の制定にこの夏、文科副大臣として携わった。
新スポーツ基本法の特徴は、スポーツ権を盛り込んだこと。スポーツ権には、「する権利」「観る権利」「支える権利」を含む。パラリンピアンのスポーツについて考えるとき、この三つの権利の大切さを痛感する。まだまだ、パラリンピアンの「する権利」は十分に実現されていない。観る権利、パラリンピアンの競技やプレイを観るときほど、感動を覚えることはない。そして、そうしたパラリンピアンを支える喜び、充実感も、これに勝るものはない。
まさに、パラリンピックこそが、スポーツの持つ本来のコア・バリューを我々に自覚させてくれる。
ロンドンでは、パラリンピアンの皆さんには、思いっきり力を発揮してほしいと願っている。そして、私たちも思いっきり応援し支えたい。
いろんなみんなが心一つに夢中にチャレンジする。来年まで、厳しいトレーニングに頑張るパラリンピアンに、心から感謝しています。ありがとう。
<鈴木寛(すずき・かん)プロフィール>1964年生まれ。東京大学法学部卒。1986年通産省入省。中央大学講師等を経て、慶應義塾大学環境情報学部助教授に就任。2001年参議院議員に初当選し、2期目。2011年6月文部科学副大臣としてスポーツ基本法を制定。2012ロンドンオリンピック・パラリンピック強化タスクフォース(リーダー:岡田武史前サッカー日本代表監督)を設置し本部長に就任。主な著書に『 「熟議」で日本の教育を変える』など多数。