応援メッセージ


僕らは、何かひとつのことに取り組んでいると、必ず壁に直面するときが訪れます。そんなとき、僕らは多くの場合、「女性だから」「もう若くないから」「都心部ではないから」――様々な言い訳を見つけてきては、自分を安心させます。でも、僕は20歳の頃、ひとつだけ自分と約束しました。
「言い訳をして逃げる人間にだけは、なるのはやめよう」
なぜなら、僕のすぐ目の前には、みなさんよりもずいぶんと見つけやすい、それでいて説得力バツグンの言い訳が転がっていたからです。
「僕には手足がないので、これはできません」
「車いすの僕に、それは難しいです」
もし、僕がこんなことを言い出したら、きっとみなさん、「うん、うん。そうだよね」と納得しちゃうと思うんです。僕がこのカラダを、この障害を言い訳として使いはじめたら、きっとこの先の人生、何もしなくても済んでしまう。だからこそ、どんな困難に直面しても、言い訳をして逃げることだけはやめようと決めたんです。
どんな苦難にも、逃げることなく立ち向かっていく――ロンドンパラリンピックに出場する選手のみなさんからも、きっとそんな姿勢が学べることと思います。
<乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)プロフィール>1976年、東京都出身。早稲田大学在学中、先天性四肢切断という障害をもちながら生きる自身の経験をユーモラスに綴った『五体不満足』(講談社)が500万部を超す大ベストセラーとなる。卒業後はフリーのスポーツライターとしてシドニー五輪やアテネ五輪、またサッカー日韓共催W杯などを現地で取材。2007年から3年間、小学校教諭を務め、現在は練馬区で保育園「まちの保育園」を運営している。著書は『W杯戦士×乙武洋匡』(文藝春秋)、『残像』(ネコ・パブリッシング)、『年中無休スタジアム』(講談社)、『だいじょうぶ3組』(講談社)、『オトことば。』(文藝春秋)など多数。
乙武洋匡オフィシャルサイト http://www.ototake.com