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国枝慎吾、金メダルでリオ出場権獲得  ~アジアパラ競技大会~

 アジアパラ競技大会第6日の23日は、車いすテニスの最終日となり、男子シングルス、女子シングルス、クアードの決勝および3位決定戦が行なわれた。男子シングルスでは今季グランドスラム制覇を達成した国枝慎吾(ユニクロ)が、眞田卓(埼玉トヨペット)を6-3、6-1で下し、ダブルスとあわせて2大会連続での2冠を達成。同時に2016年リオデジャネイロパラリンピックの出場権を獲得した。同じく日本人対決となったクアード決勝は、諸石光照(岐阜県クラブ)が川野将太(シーズアスリート)を4-6、6-2、6-2のフルセットの末に逆転勝ちで金メダルに輝いた。また、女子シングルス3位決定戦では上地結衣が堂森佳南子(ともにエイベックス)に6-0、6-2のストレート勝ちをおさめ、銅メダルを獲得した。

 陸上では複数の障がいのクラス合同で行なわれた女子砲丸投げで加藤由希子(仙台大)が12メートル21をマークし、自身の障がいクラス(切断など)の世界記録を28センチ更新しての金メダルを獲得。円盤投げに続く2冠目となった。男子800メートル(視覚障害)では和田伸也(大阪府視覚障害者福祉協会)が1500メートル、5000メートルに続いて優勝し、3つ目の金メダルに輝いた。同800メートル(車いす)では上与那原寛和(日本連盟)が優勝した。

 水泳では男子キャプテンを務める木村敬一(東京ガス)が、最後の種目100メートルバタフライ(視覚障害)で優勝。今大会木村はエントリーした6種目中、4種目(50メートルおよび100メートル自由形、100メートル平泳ぎ)を制した。

 決勝に臨んだ7人制サッカー(脳性麻痺)はイランに0-5で敗れて銀メダルとなった。5人制サッカー(視覚障害)は地元韓国との最終戦を0-0のドローとして、通算成績1勝1敗2分で勝ち点5とし、同じく勝ち点5とした中国を得失点差で上回り、銀メダルを獲得した。ゴールボールは男女ともに銅メダルとなった。


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国枝慎吾コメント
「グランドスラムも終わったので、今大会はリラックスして臨めるのかなと思っていたが、実際この舞台に来るとそうではなかった。やはり国を背負っているということもあるし、選手村などパラリンピックのような独特な雰囲気があるなと感じた。それは自分にとって2年後のパラリンピックに向けていい経験になったなと思う。ここ4、5年で日本男子のレベルは上がってきていて、日本人対決というだけで、ワールドクラスになる。それだけに僕も日本人選手に勝つことが難しくなってきているというのが正直なところ。リオでは日本人の表彰台独占も決して不可能ではないというレベルまできていると思っている。その中で自分がその頂点に立てるようにしたい。リオは着々と足音を立てて近づいてきている。これからの2年間でしっかりと自分自身のレベルをさらに上げていきたい」

眞田卓コメント
「国枝さんと本戦で対戦するのは、2011年のジャパンオープン以来、今回が2回目だったが、決勝という大舞台で対戦したのは初めてで、緊張して独特の雰囲気にのまれてしまった。試合をこれだけ待ったのも初めてで、(環境の変化に)対応しきれなかった。でも、なかなかできない経験ができた。今後、大きい大会を戦っていく中でこういうこともあるんだなとわかったので、次につながると思う。常に環境が変わっていく中での気持ちの持っていき方など、国枝さんから学ばせてもらった」

上地結衣コメント
「昨日の準決勝で(自分が)負けて、もうひとつの準決勝でも堂森(佳南子)さんが負けてしまった。男子シングルスもクアードも、決勝は日本人対決だったので、自分たち(女子シングルス)も日本人同士で決勝を戦いたかったという気持ちが強かった。他の大会と違って、負けてもまた次の試合があるので、気持ちの切り替えはちょっと時間はかかったが、今日は自分のプレーに集中してできたと思う。(3位という結果は)優勝を狙っていたので、納得はいってない。内容的にも(準決勝は)相手のタイの選手にやられて、自分が対応しきれていなかった。世界のトップはヨーロッパの選手が多いので、そういう選手には勝ってランキング1位にはなっているが、アジアでまだ負けている選手がいるということは、本当の1番ではないということ。まだまだやらなければいけないことはたくさんある。準決勝で一番感じたのは、自分のプレーのことを考えすぎて、相手への分析がおろそかになっていた部分があったかなということ。相手がどういう状態で、どういうプレーをしてポイントをとっているのかということが把握しきれていなかった。自分がどういう状態であれ、相手の分析をしっかりとするという力が必要だと感じた。こういう悔しい気持ちをリオや東京ではしないように、そのための準備だったと思えるように頑張りたい」

(文・写真/スポーツコミュニケーションズ 斎藤寿子)