編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第56回 障がい者スポーツを"ツール"にして伝えたいこと ~体験会を開催する本当の理由~

広島での体験会には、多くの子どもたちが参加 今月23日、広島市でNPO法人STAND主催のゴールボール体験会を行いました。6歳から70歳代まで幅広い年齢層の約120人に参加していただきました。2005年にSTANDを設立して以来、体験会は年に1回は、開催してきました。もっと多くの地域で開催し、多くの人に体験してもらいたいという思いはあったのですが、障がい者スポーツの体験会を開くことは手間や時間もかかるので、そんなに簡単にできることではありません。それが昨年から「挑戦者たち」をサポートしてくださっている清水建設のご協力により、年3回以上の実施が可能になりました。以前は場所も首都圏が多かったのが、全国各地へも展開し、秋には新潟、大阪でも開催を予定しています。
(写真:広島での体験会には、多くの子どもたちが参加)


 現場で何度も感じた"特別じゃない"という思い

 まずは私が、なぜ障がい者スポーツの体験会を開催するようになったのかをお話しします。私が生まれて初めて、障がいのある人とお話をしたのは、今から20年以上前のことです。友人に誘われ、車いす陸上大会を見に行きました。一緒に観戦した私の友人のひとりが知り合いだったこともあり、レース後、大会に出場していた飯田康弘さんを紹介してもらったのです。

 そこで私は彼の足を見て、驚きました。筋肉が落ちていたため、とても細くなっていたんです。友人たちが話している間も、足が気になっていると、飯田さんと目が合ってしまったんです。その時に彼に「伊藤さん、僕の足細いでしょ?」と言われ、私はいたたまれなくなりました。すると飯田さんは「伊藤さんの足より細いでしょ」と冗談を言ったんです。その時に大きなショックとともに、感じました。"あれ? 普通の話をしてもいいんだ"と。私はどこか飯田さんのことを"別世界の人"として見ていたのです。それは大きな思い違いでした。これを機に私は、障がいのある人への見方が大きく変わりました。


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伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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