二宮清純の視点
二宮清純が探る新たなるスポーツの地平線
2015.04.09
第1回 さまざまな社会貢献のかたち
~企業と共につくる東京2020のレガシー~(1/4)
2014 年から、障がい者スポーツを応援する当WEBサイト「挑戦者たち」のパートナーとなった清水建設株式会社。NPO法人STANDが全国3ヶ所(金沢、東京、仙台)で開催した障がい者スポーツ体験会でも、社員がボランティアとして参加するなど積極的な支援を行っている。そこで今回は、同社の代表取締役社長・宮本洋一氏にその背景にある考え・理念や、今後の取り組み方針などを訊いた。
二宮: オリンピック・パラリンピックの東京開催が5年後に迫っており、宮本社長はパラリンピックをオリンピックと同等にサポートしたいと考えていらっしゃるとお聞きしました。その理念はどういうものなのでしょうか。
宮本: 私どもは「論語と算盤」を経営理念としています。企業経営においては、算盤の方が優先されがちなのですが、その前提には論語があるということです。企業が社会の中で生かされて、存続していけるという教えをずっと守ってきているわけです。その上で社会貢献活動を大事にしています。社会貢献の形もいろいろあると思いますが、私たちの会社では、具体的・直接的に貢献していくことも大切だと思っています。
二宮: そのひとつが障がい者スポーツだったのですね。
宮本:健常者が障がい者を温かく受け入れ、支援するだけでなく、健常者、障がい者が分け隔てなく、一緒に生活することのできる社会をつくることが重要なのだと、私は数年前から認識し、会社として主体的に行う必要があると思うようになりました。ちょうどその時にSTANDさんの活動を知り、昨年からお手伝いをさせていただいています。
【いきいきとしていた参加者の姿】
伊藤:パートナーとしてサポートしていただいて、1年が経ちました。全国3ヶ所で行った障がい者スポーツの体験会にも、ご協力してくださっています。たくさんの社員の方 が、ボランティアとして運営にも参加してくれました。
宮本: これまでボランティア活動に積極的でなかった社員からも「良かった」という感想を聞いて、他の支店長が「ぜひ、私の支店でも開催してほしい」と言ってきています。
会社としても、こういったイベントを全国でご一緒することができるのは有難いですね。
伊藤: 実際、社員の方たちも積極的に参加されていますし、ボランティア精神も旺盛です。
宮本: 体験会の様子を映像で拝見させていただくと、お子さんたちも非常にいきいきと楽しまれている。目に障がいのある選手が行うゴールボールをプレーしていましたが、見えない中での体験を、新鮮なこととして感じている様子がわかりますね。そこに参加している当社の社員を見てもいきいきとやっていて、仕事とは違った一面が見られたように感じています。当社としても大変喜ばしいことです。
(第2回につづく)
<宮本洋一(みやもと・よういち)>
1943年生まれ。67 歳。東京出身。
71年東京大学工学部卒、清水建設入社。
建築本部工事長、耐震営業推進室長、執行役員北陸支店長、同九州支店長、専務執行役員営業担当などを経て、07年6月から現職。
(構成・杉浦泰介)